洋蘭交配種 カトレア ビューフォート ‘エルムウッド’ Cattleya Beaufort ‘Elmwood’ (MC)

 カトレア・ビューフォート(Cattleya Beaufort)はアメリカ・サウスカロライナ州ビューフォート市のCasa Luna Orchidsにより作出された、カトレア・コクシネアとカトレア・ルテオラの交配種(C. coccinea × C. luteola)である。王立園芸協会(RHS)へは1963年に登録され、この一代交配種から1000種を超えるミニカトレアやミディカトレアが生まれた。今ではカトレア・ビューフォートはミニ・ミディカトレアの優秀な親としてよく知られるが、育種の進展には紆余曲折があったようで、本種が登録されてから本種中の入賞花が生まれるまでに11年かかり、本種から生まれた新種が初めて登録されるまでにさらに9年もの歳月を要したらしい1

 カトレア・ビューフォートの花色は主に黄色と橙赤色の二種類に大別される。クローン名‘エルムウッド’は黄色の初期の入賞花で、1974年にアメリカ蘭協会からH.C.C.を獲得している2。後に、この‘エルムウッド’のメリクロン変異により得られた、ゲノムが倍数化した選別個体から、黄色の優良新種が生まれていったらしく、‘エルムウッド’は黄色ミニ&ミディカトレアの元祖ともいえる花であるようだ。

 カトレア・ビューフォートの性質は実生によって様々であるようだが、この個体は母親のカトレア・コクシネアとよく似ており、冷涼湿潤な環境を好む。草丈は10cm程度で、花径5-6cmの黄色の花を1-2輪つけ、唇弁には赤斑が入る。バルブが出来上がると季節を問わず花芽分化する不定期咲きなようで、今回気づいたら花が一輪上がっていた。過去に多くの展示会で飾られていたように、初春か晩秋に一斉に咲かせたいのだが、どうしたら出来るのだろうか。

Cattleya Beaufort ‘Elmwood’ (MC)
花の大きさ: 6.0 cm × 5.0 cm バルブの大きさ: 4.5 cm 葉の大きさ: 6.0 cm × 2.0 cm 9.0 cm素焼き鉢水苔植え

 

花色は鮮やかな黄色で、唇弁の奥と先端に赤斑が入る。

 

花姿は全体的にカトレア・コクシネアに似るが、唇弁の形質はカトレア・ルテオラ似である。

 

側花弁はもう少し丸く幅広になるはずだが、これはこれで綺麗。

 

[注釈]

1: Greater North Texas Orchid Society(GNTOS)のSpecies Data Sheet Cattleya luteolaを参照。

2: ORCHIDS.ORGのOrchid Hybrid: Sophrocattleya Beaufortを参照。なお、この個体は後の1982年にアメリカ蘭協会からA.M.を獲得している。

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